ヘアライター佐藤友美の 人生は髪から変わる

Special Hair Column

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髪には人生を変える力がある

髪は自己肯定感に直結する

ヘアライターのさとゆみです。
私は普段、ヘアページや、ヘアカタログなどで髪を変える企画を担当しています。これまでのライター人生の中で、ヘアスタイルをチェンジする企画で立ち合った女性の数は約4万人。小学生から80代の方々まで、「髪で人生が変わる」瞬間をたくさん見てきました。

髪には人生を変える力があります。
それは、髪を整えると、若々しく見えるとか、ハツラツとして見えるとか、そういった外見的な話だけではありません。そして、髪が美しくなって、結婚が決まったとか、仕事で活躍できるようになったとか、同窓会でみんなに褒められたとか、そういった話だけでもありません。
もちろんそういう話も素敵なのだけれど、結婚や出世、若返り以上に幸せなのは「自分に自信が持てるようになること」だと私は考えています。

そう、髪は、自己肯定感に直結するのです。

日本人、とくに日本人女性の自己肯定感は、世界でも最も低いといわれています。それほど、私たちにとって「自分を好きになること」や「自信を持つこと」は切実だし、難しい課題なのです。

でも、この「自信を持つこと」は、髪によって叶えることができます。なぜなら、髪は、服やメイクと違って、あなた自身だから。気に入った髪を手に入れることは、自分を好きになることとイコールなのです。
髪は自信に直結します。

たとえば、お気に入りの服をきているときは、なんとなく気分が前向きになりますよね?「今日の自分はいい感じ」だと思えると、堂々と振る舞えるようになるし、急なお誘いがあっても今日なら行ってみようかなと思ったりします。
そんな「気に入った服を着ているときの自分」のような効果が、毎日続くのが、髪です。服は毎日同じものを着るわけにいかないけれど、髪だったら、毎日お気に入りを身につけて歩くことができます。

そうやって、「気に入った自分」で過ごす日が増えれば増えるほど、人は自分を好きになっていきます。そして自分に自信を持てるようになるのです。

何歳からでも生まれ変わることができる

あるトークイベントで出会った50代の女性の話をさせてください。
その時も私は、「気に入った髪を身につけたら、自分を好きになれる。髪は自信に直結する」という話をしていました。
そのイベントの最後に「何か質問はありませんか?」と尋ねると、ある女性が手をあげて「クセが強くてうまくまとまらないのですが、縮毛矯正をかけたほうがいいですか?」と聞いてきました。ショートヘアの方でした。

そのとき私は彼女に、「いえ、縮毛矯正はしないほうがいいです」とお伝えしました。そして「せっかくのいいクセをお持ちなのですから、矯正でのばしてしまうのはもったいないですよ。そのクセがほしくてわざわざお金をかけてパーマする人がいるくらいです。もしまとまりにくいようなら、縮毛矯正ではなく、カットでおさまりよくしてもらいましょう」
と、お伝えしました。

彼女は納得してくださったようで、その場はそれで終了したのですが、イベントが全部終わって会場を出ようとしたとき、彼女が出口で待っていてくれたことに気づきました。

びっくりした私が声をかけると、彼女は私の顔を見て突然ぽろぽろと大粒の涙をこぼしました。聞けば、小さな頃からクセ毛がコンプレックスだったというのです。

小学生のときに親戚に、「あんたのお姉ちゃんはサラサラのストレートヘアやけん、性格もまっすぐやけど、あんたはそのチリチリのクセ毛のように、性格も曲がっとんなあ」と言われたことが、ずっとトラウマで、毎朝鏡で自分の髪を見るのが辛かったと言います。

でも、今日イベントで私に「すごくいいクセですよ。ぜひ生かしてください」と言われて、彼女の中で、何かがはじけたのだそうです。
そして、彼女は私に、こう言いました。
「私、今からでも遅くないですか? 50歳を超えてからでも、自分のことを好きになれますか?」

これまで、どれほど辛い思いをしてきたのか……。それを想像すると、私までぎゅっと胸を締め付けられる思いになりました。
私は、「きっと大丈夫。まずは、今のクセを生かして気に入る髪型を手に入れましょうね」と伝えて、クセ毛のショートヘアカットがお上手な美容師さんをご紹介しました。彼女はその後、その美容師さんのもとに行ってくださったようです。

後日、彼女から丁寧なお手紙をいただきました。その手紙には「今までで一番気に入った髪型になりました」と書かれていました。何よりも嬉しかったのは、お手紙に、「髪型を変えてから、鏡を見るのが楽しくなりました」とあったこと。
それを読んで、心の底からほっとしました。長年髪に対してコンプレックスを持っていた日々は辛かったと思うけれど、そのぶん、気に入った髪型を手に入れた彼女は、思い切り生まれ変わることができるはずです。

いつからでも、何歳からでも、人は生まれ変わることができます。自分をもっと好きになりたいと思ったとき、髪は、あなたの一番近くで味方になってくれます。

ヘアライター 佐藤友美(さとゆみ)

日本初のヘアライター。 約20年のヘアライター人生で、約4万人、200万カットものヘアスタイル撮影に立ち合う。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、日本はもとより、海外でも美容師向けの講演を行い、セミナーを受けた美容師はのべ3万人を超える。
歯切れのいい解説で、NHK「あさイチ」、MBS・TBS系「林先生が驚く 初耳学! 」などのテレビ、ラジオ番組などで活躍する一方、ヘアアドバイザーとして全国の女性の髪の悩みにこたえ、高い満足度を得ている。現在、ESSEonline「ヘアの問題白黒つけます」やmi-mollet(ミモレ)「さとゆみの『ドラマな女たち』ヘア&メイクcheck」などを連載中。著書に、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)などがある。近著に『髪のこと、これで、ぜんぶ。』(かんき出版)。