ヘアライター佐藤友美の 人生は髪から変わる

Special Hair Column

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薄毛は治療できる時代です

予期せぬ脱毛は誰にでも起こりうる

ヘアライターのさとゆみです。
先日ニュースを見ていたら、コロナ後遺症のひとつとして、薄毛に悩む女性が増えているという特集が組まれていました。「お、これはチェックせねば」と思っていたら、浜中先生が出演されていて、「おおおお!」となった次第です。

先生の出演VTRを拝見しながら、昨年の秋にインタビューをさせていただいた時のお話を思い出していました。

浜中先生いわく、「2020年は、コロナのストレスによって髪が抜けてしまう人が多かった」けれど、「2021年は、実際にコロナにかかった人が、髪が抜けてしまう後遺症に悩んでいる」というのです。
当時、コロナ後遺症としての脱毛は、そこまで広く知られている話ではなかったので、「なぜ、コロナの影響で髪が抜けるのか?」と、質問させていただきました。
このコラムでも何度か出てきた話ですが、髪の毛は、古来から「血のあまり」と言われているように、「全身に栄養をいきわたらせたあとの余力(あまり)で、健やかに保たれる」といった側面があります。

だから、コロナのような命にかかわる病気をすると、まず身体が命を守るために全力を尽くし、結果、髪にいきわたる栄養が足りなくなってしまうのだとか。
その結果、病状としては落ち着いてきたころに、後遺症として(命を守るために頑張っていた期間に、栄養がいきわたらなかった髪に対して)、脱毛という症状が出てしまうのだとか。

このような脱毛症状は、コロナだけの話ではなく、大病をした人や、心身に負荷がかかってしまった人であれば、誰でも起こりうることなのだそうです。

ただ、テレビを見ていてよかったなと感じたことは、こういうときに、「頼れるクリニックがある」ということを知ってもらえたことです。
以前であれば、「全身状態がよくなれば、そのうち生えてきますよ」と言われるだけで、積極的な対処法をとれなかった方も多かったでしょう。でも近年は、こういった薄毛や脱毛に対する専門のクリニックが認知されるようになってきて、治療の選択肢が増えたことは、とても良いことだと感じます。

薄毛は治療できる時代になっている

以前、医療用ウィッグのヘアカタログを制作したことがあります。資金はクラウドファンディングで集め、スタッフはみな、ボランティアで参加しました。その際、プロジェクトを支援してくださったお医者さんが言ってくださった言葉を、今でもよく思い出します。

「このような活動には、心から賛同します。私たちは白血球の数値が下がった患者さんには治療をすることができます。でも、髪が抜けることに対しては、『いつか必ず生えてきますから、我慢してください』としか言えなかった。医療が手を差し伸べられない場所を、美容の人たちがサポートしてくださるのは、とてもありがたいです」と。

浜中先生にインタビューさせていただいたとき、この時のことを思い出しました。
当時は、抗がん剤治療で抜けてしまった髪は、ウィッグでカバーするほかなかったけれど、今では発毛治療という選択肢もある。脱毛で、辛い思いをしている人たちに、手を差し伸べてくれる場所が増えていることを、私は心から嬉しく思っています。

髪の毛の存在は、直接「命」には関わらないかもしれません。でも、「“いきいきと”生きること」には、大きな影響を与えます。
もちろん、病気由来の脱毛だけではありません。加齢による脱毛や薄毛に悩む人たちにも、今はいろんな選択肢がある時代です。「自分が、自分の好きな見た目で生きていける」ことは、人生の豊かさをぐんと引き上げてくれると感じます。

もし、今の自分の髪に悩みを持っている人がいたら、「今は、薄毛も治療できる時代なんですよ」とお伝えできたらと思います。
そして、一人でも多くの女性が、髪を通じて「なりたい自分像」を、自信を持って実現できることを、願っています。

ヘアライター 佐藤友美(さとゆみ)

日本初のヘアライター。 約20年のヘアライター人生で、約4万人、200万カットものヘアスタイル撮影に立ち合う。「美容師以上に髪の見せ方を知っている」とプロも認める存在で、日本はもとより、海外でも美容師向けの講演を行い、セミナーを受けた美容師はのべ3万人を超える。
歯切れのいい解説で、NHK「あさイチ」、MBS・TBS系「林先生が驚く 初耳学! 」などのテレビ、ラジオ番組などで活躍する一方、ヘアアドバイザーとして全国の女性の髪の悩みにこたえ、高い満足度を得ている。現在、ESSEonline「ヘアの問題白黒つけます」やmi-mollet(ミモレ)「さとゆみの『ドラマな女たち』ヘア&メイクcheck」などを連載中。著書に、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)、『女は、髪と、生きていく』(幻冬舎)などがある。近著に『髪のこと、これで、ぜんぶ。』(かんき出版)。